抄録
Interpulse膜型肺(IPMO)は巾広い血液流路に二次的渦流を発生させ高いガス交換能と拍動流効果を得る新しい膜型肺である。このIPMOとTMO肺, Shiley肺を40例の開心術に使用し, その血液成分, 血漿蛋白成分及び腎機能レニンーアルドステロン系変動を, 臨床的に比較検討した。IPMO群は20~30mmHgの脈圧を呈したが, 血球成分変化は白血球数以外は, ほぼTMO群と同程度であった。Shiley 群では他群にぐらべ溶血, 血小板減少, 白血球増多が高度であったが, 免疫グロブリン, 補体, フィブリノーゲンの変化には差を認めなかった。腎機能, レニン活性については三群間に差を認めず, IPMOによって得られる脈圧の効果は臨床的には認めなかった。しかし灌流圧とCcr低下率, レニン活性との間には相関が認められ, 適性灌流圧の観点から興味ある所見を得た。