人工臓器
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ホロファイバー膜型肺の臨床経験
三枝 裕幸川村 光生田中 稔阿部 稔雄弥政 洋太郎
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1984 年 13 巻 1 号 p. 579-582

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抄録

ホロファイバ-膜型肺(Capiox 54)(HFO群)と気泡型人工肺(Sheiley 100A)(B. O. 群)の臨床経験, 主として, 代謝, ホルモンについて比較検討した。乳酸(L)と, 乳酸/ピルビン酸値(L/P)は, 体外循環(CPB)中, HFO群がB. O. 群に比し有意に高値を示した(P<0.05)。副骨髄質より放出されるエピネフリン(E)は, CPB開始後よりHFO群に低値を示す傾向がみられ, 復温後までこの状態が続いた。またノルエピネフリン(NE)も同様にHFO群に低値を示す傾向がみられた(P<0.10)。血糖値は, 二群間に有意の差を認めなかった。HFO群とB. O. 群とでは, CPB中, 最低温度に有意差はなかったが, PaO2値が有意にHFO群で高値を示したoCPB中乳酸値, L/P比がHFO群に高値だったのは, 高度な酸素分圧によってかえって末梢組織のHypoxic stateが生じた結果と考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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