人工臓器
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ECMOに用いる膜型肺の検討
―シリコンおよびポリプロピレンホローファイバー型膜型肺について―
那須 通寛宮村 一男鹿野 和久矢田 公庄村 赤裸森本 保坂井 隆草川 實
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1984 年 13 巻 1 号 p. 586-588

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抄録
シリコンおよびポリプロピレンホローファイバー型膜型肺のECMOに対する有用性をガス交換能, 血小板破壊, 溶血について, 24時間のV-Aバイパス実験において検討した。ガス交換能は, S. H. M. O. では経過時間中良好であったが, P. H. M. O. では12時間目より軽度低下を認めたが, 気層への漏出液の貯留が原因であった。血小板数の変化は, 24時間後ではS. H. M. O. 84.7%, P. H. M. O. 51-8%までの減少にとどまった。血漿遊離ヘモグロビン値は両肺において経過時間中, 50mg/dl以下に抑えられていた。P. H. M. O. では, 8~13時間目頃から血漿成分の漏出が出現し, 経時的に増加し210ml/hrに達し, 尿量の著減, 低蛋白血症, 電解質のアンバランスが出現した。ECMOに対する人工肺は良好なガス交換能は必須条件であるが, 血球破壊の点を含めた生体のホメオスターシスを維持することも要求される。従って, S. H. M. O. の方が, ECMOには適していると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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