抄録
肝広汎切除後に発生した肝不全例に対して, 血漿交換を中心とした肝補助を行なった2例を呈示し, その問題点と効果について述べた。症例1は拡大肝右葉切除を施行した原発性肝癌例である。再手術を契機として肝不全が出現したため血漿交換を行なったが効なく死亡した。剖検所見では, 門脈内腫瘍塞栓, 肝内転移を認め肝補助の適応外例であった。症例2は, 拡大肝右葉切除+膵頭十二指腸切除を施行した胆道癌例である。黄疽の上昇とともに出現した肝不全に血漿交換法を中心に約1ヶ月間に20回施行したところ, 肝不全徴候は消失した。しかし, その後敗血症のため死亡した。剖検では, 肝は1,200gに再生肥大し, 腫瘍の残存および再発は認めなかった。以上の所見より, 肝切除後の肝不全には, 肝補助の適応外のものもあるが, 症例2のごとく肝不全が著明に軽快する例もあり, 早期に開始する血漿交換は, 肝補助療法として有効であると考えられた。