人工臓器
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抗凝固剤としてのカルバサイクリン誘導体(CS-570)の活性炭による直接血液灌流への応用
酒井 秀夫大橋 文人佐々木 重人伊藤 福美森田 明小林 晋作高井 信治佐々木 伸雄竹内 啓
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1239-1242

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抄録

活性炭などの吸着剤による直接血液灌流(DHP)は肝不全・腎不全などに対する治療として有効である。本治療法実施に際しての抗凝固剤としては主にヘパリンが使用されているが, 血球の減少・DHP後の出血傾向などの問題がある。我々はこれらの問題点を考慮し, ヘパリンにかわる抗凝固剤としてカルバサイクリン誘導体CS-570を使用して実験的尿毒症犬の活性炭によるDHPを行ない, 血球成分・血液凝固能・血圧・回路内圧などを指標としてCS-570のDHPにおける抗凝固剤としての有用性を検討した。その結果, DHP実施中の赤血球数・血小板数は変動せず, 血液回路内での血小板凝集は強く抑制されており回路内凝血の徴候は認められなかった。一方, 生体内での凝集抑制率は低くDHP終了後の凝集能回復も速やかであった。また, 血圧の低下はわずかであった。
以上のことからCS-570はDHPにおける抗凝固剤として非常に有用であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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