人工臓器
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持続的腹膜灌流法の重症型急性膵炎治療への応用
佐中 孜寺岡 慧佐藤 博司樋口 千恵子小俣 正子荒井 純子詫摩 武英杉野 信博本田 宏八木 沢隆高橋 公太太田 和夫
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1985 年 14 巻 1 号 p. 119-122

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抄録

持続的腹膜灌流法を3名の重症型急性膵炎患者の治療に応用した。
これらの症例は、いずれも救命しえた。このうち、第1例は後腹膜腔、膵偽嚢胞、胆嚢それぞれへのドレナージの併用を必要とし、第3例も胆嚢ドレナージを造設しているが、第2例は、腹膜灌流法のみで、膵偽嚢胞の消失をはかることができた。
急性膵炎活動期の腹膜のアミラーゼ・クリアランスは、3.9±1.0ml/min(M±SE)と、腹膜炎のない慢性腎不全患者のそれと比較して14倍近く上昇していた。また、アルブミン・クリアランスも13.2~0.7ml/minと高値を示し、腹膜の透過性亢進を示しているものと思われた。
以上より、腹膜灌流法は、腹腔内および後腹膜腔に逸脱した膵酵素の除去に有用であり、それによって、予後不良とされる重症型出血性あるいは壊死性膵炎を治療することができるものと判断された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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