人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
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14 巻, 1 号
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  • ―論文と学会発表について―
    遠藤 真弘
    1985 年 14 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 竹沢 真吾, 平野 史朗, 芦沢 真佐子, 酒井 清孝
    1985 年 14 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工腎臓に広く用いられているダイアライザーの溶質除去効率は, 膜の溶質透過性能の他に, 透析液側, 血液側流動状態に大きく左右される。血液側流動状態は, 種々のダイアライザー間で中空糸内径, 本数に極端な差がないため, ダイアライザーによってさほど異なるとは思われない。一方, 透析液側流動状態はほとんどのダイアライザーで流れにくい部分が存在すると思われ, 効率に与える影響は大きい。そこで, 透析効率と流動状態を無次元式をもって整理した。この手法では, ダイアライザーの大きさ, 形状に関係なく同一の式にて検討することができる。6種類の市販ダイアライザーを用いて実験したところ, クリアランスが高値を示しても流動状態が良好とはいえないものもあった。ダイアライザーによっては, さらにジャケット形状などを工夫するとクリアランスが向上し, ダイアライザーの小型化が計れるものもあり, モジュール設計上有益な知見が得られた。
  • 小沢喜 久夫, 酒井 清孝
    1985 年 14 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の透析膜より高い分画分子量を有し, タンパク質を透過させる大孔往透析膜の溶質透過性を調べた。膜の溶質透過性は反射係数σ, 溶質透過係数Pmにより表わされる。そこでKF-101C(EVA膜, クラレ製)を用い, 流速変化法にて実験を行い, σ, Pmを測定した。また, 細孔理論とモジュール内物質収支式を組合せたモジュール内溶質移動モデルを考案し, モジュール効率を解析したところ, 分子量の小さい物質は拡散により物質の除去が行われ, 分子量の大きい物質は孔径の影響を強く受け, bulk flowにより物質の除去が支配される事がわかった。さらに, 臨床的な指標の1つである最大安定濃度を計算したところ, 小分子量物質の場合は(Ak/ΔX)に, 大分子量物質の場合は孔径により最大安定濃度が影響されることがわかった。以上より, 開孔率, 膜厚み, 孔径を組合せることにより, 対象とする物質の除去量を変化させることが可能である。
  • 山田 明夫, 町山 悦子, 壁井 信之, 岡野 光夫, 石島 正之, 桜井 靖久, 木原 一彦
    1985 年 14 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液中の重要な, 常に把握すべき成分の濃度を連続且つ, 血液損失の少ない方法で測定するために限外濾液を用いて行う装置に関する一連の研究である。今回はその装置の中に組むための濾過セルに関し, 特に濾過膜に関して検討を行った。濾過効率の最も良い東洋濾紙を用いて濾過速度を検討したところ, 100%飽和濃度に到達する時間は5分30秒と以前の応答時間を短縮した。
  • 谷口 昌弘, 打田 和宏, 梶本 好輝, 北 裕次, 小村 隆洋, 宇治田 卓司, 阿部 富弥, 宮田 征司
    1985 年 14 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液浄化法の評価ならびに病態の解明のために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による血清分析をおこない、パーソナルコンピュータを用い、これを解析した。HPLCには旭メディカル社製プラスマグラフを用い、これらのデータをPC-8801にて波形解析をおこなった。中低分子カラムでは、約20個のピークが検出され、同定実験において、それぞれのピークのうち、グロブリン、アルブミン、中分子量物質、クレアチニン、尿酸が同定された。大分子量カラムにおいても同様の物質の同定ができたが、特にアルブミン分画において、メルカプトアルブミン(HMA)およびノンメルカプトアルブミン(HNA)の二峰に分離された。健康人血清ではHMA/HNA比が大であり、透析不足および重症症例では同比が小さくなる。この比率は血液浄化による治療と共に正常パターンに近くなる。HPLCによる血清分析は各種血液浄化法の評価ならびに病態解明に有用な手段であるといえる。
  • ―特に血圧上昇に対して―
    山海 嘉之, 太田 道男, 熊谷 頼明, 池辺 潤
    1985 年 14 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    循環系の制御系には、圧受容器と容量受容器のあることが知られている。透析中の患者の循環系に於いては、主として、血液量の減少が血圧低下の原因を作り出す。この場合、制御系が良好であれば血圧の低下は僅かであるが、不十分であれば血圧の低下や低容量性ショックを招く。通常は血圧のトレンドは単調な減少を示すが、一時的もしくは全般的に血圧が上昇する患者も存在する。これは血液量の減少に伴い心筋の収縮特性が改善される他に、右心房圧(Pra)の受容器により、血液量減少に伴う血圧低下を補償する制御ループが働くためと考えられる。前回報告した患者モデルは体液系の3プールモデルと循環系の心拍出系モデル、神経系モデルで構成されていたが、今回はPraに関する受容器を容量受容器として付加し循環系モデルを再構成した。さらに、臨床データを基にシミュレートし、両者に良い相関を得た。
  • 秋山 暢夫
    1985 年 14 巻 1 号 p. 25
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 坂下 恵一郎, 筒井 敏彦, 利見 秀雄, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 増子 和郎
    1985 年 14 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ACダイアライザーの2つのタイプ(ドライとウェット)を基礎的, 臨床的に比較検討した。△KMnO4, 蒸気残留物及びUV吸収は, ドライタイプが高値を示した。溶血性試験では, ウェットの充填液のみに溶血がみられた。ダイアライザーのLTでは, 試薬や検体の違いにより異なる結果が得られた。未使用ダイアライザーの由来のLAL-RMは, エンドトキシンの可能性は少ない。透析中の白血球や補体の変化は, ドライ, ウェットとも同じ挙動を示した。ACダイアライザー長期使用患者において, パイロセートとトキシカラーテストによるLTでは, ドライ群が有意に高値を示した。パイロジェントでは, 全例陰性であり, 上記試薬にて検出されたLAL-RMもエンドトキシンの可能性は少ない。臨床データー上は, ドライ群とウェット群との間には, IgE以外有意差は認められなかった。しかし, 今後更に検討する必要があると思われた。
  • S. YAMAGAMI, H. YOSHIHARA, S. IRITANI, M. UMEDA, M. SENJU, T. KISIMOTO ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    We have found a Limulus lysatepositive substance in the washing solutions of dialyzers with cuprophane membranes, but a pyrogen test revealed no pyrogeneticity. Therefore, we analyzed the substance using Factor C and G systems, and found that it did not show a positive reaction both in vitro and vivo pyrogen tests and activated an alternative pathway for the cascade reaction in the endotoxin assay. This suggests that the substance contained in the washing solution may be β-glucan. Hey Words Endotoxin, Cuprophane membrane, β-glucan, No pyrogeneticity, LAL
  • 中川 一郎, 浦野 寿夫, 保科 繁, 池田 裕, 中村 藤夫, 古川 守, 遠藤 信之, 阿部 町子, 鈴木 正司, 平沢 由平, 鈴木 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析中の血液回路より血液中へ溶出してくる可塑剤(DEHP)は, 人体に対し何らかの悪影響を与えていると思われる。
    そこでDEHPの溶出を阻止するため, 回路内面にgelatin及びurethaneをcoatingした血液回路を作製し, in vivoにおけるplasma DEHP濃度の測定を行った。
    その結果, 従来の血液回路に比べ, plasma DEHP濃度は, いずれの回路を使用した時でも減少しており, 特にgelatin coating回路では, 約60%もの低下を見た。
    これらのcoatingによるDEHP溶出阻止効果は十分に期待できるものと思われ, 今後も検討を続けたいと思う。
  • 小野 利彦, 岩元 則幸, 山本 則之, 近藤 守寛, 福田 豊史, 山崎 悟, 平竹 康祐, 谷口 泰雄, 酒井 良忠, 片岡 浩, 国友 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    投薬(DFO投与)と体外循環(透析)との組み合わせによって慢性透析患者からAlを除去する最適化処方を確立するため, DFO投与による血中Alの変動とAlの膜透過性を調べた。
    1) DFO投与後の血中Alの上昇は, 短期(<1年)透析群<長期(>5年)群, DFO既投与群<初回投与群. 骨痛などの無症状群<有症状群となった。これらは, 骨障害改善へのDFO投与効果を示唆している。
    2) Alの除去率, 血漿クリアランスはともに血中Al濃度の上昇につれて大きくなる。セルロース透析膜に比し, 微少蛋白透過膜TK-401(BK)のAl除去率, 血漿クリアランスはともに高い。血中Alの上昇につれて膜透過性のAlが増加するものと思われる。DFOにより血中Alを上昇させて多孔性膜による透析を行なうことが有効であろう。
  • 飯田 喜俊
    1985 年 14 巻 1 号 p. 41
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 尾畠 昭二, 春名 邦昭, 尾畠 要司, 春名 一八, 二本 木豊, 窪津 彰, 高木 俊昭, 高島 征助, 高 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エチレン-ビニルアルコール共重合体中空糸膜透析器による無抗凝固剤透析治療への中空糸の内径の影響について知見を得るために、内径が175, 200, 260μの3種類の中空糸を同一ハウジングを用いてモジュール化し、臨床使用後の中空糸について、走査型電顕, ゲルパーミエションクロマトグラフィーなどの手法によって検討した。
    これら3種類のモジュールにおいて、血液流量:200ml/minで、無抗凝固剤透析を何ら支障なく遂行することが出来たが、上述の手法によって観察して見ると、中空糸の内表面の付着蛋白形成の様相もかなり異なるという興味ある知見が得られた。
  • 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 尾畠 昭二, 春名 邦昭, 尾畠 要司, 春名 一八, 窪津 彰, 高木 俊昭, 高島 征助, 高倉 孝一, 犬 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エチレン-ビニルアルコール系共重合体中空糸膜透析器の抗血栓姓は、従来のDry型(EOG滅菌)に比べWet型(無菌純水充填γ線滅菌)の方が残血の程度がより少く優れていることが明らかになった。そこで今回は、このような差異の生ずる原因について、無抗凝固剤透析治療後のそれぞれの中空糸を走査電顕, フリーズレプリカ法電顕, 中空糸からの抽出物のクロマトグラフィーなどの手法によって検討した。
    Wet型では、無菌純水を充填したままで長時間保存することによって、中空糸内の極微小空間にトラップされている空気も完全に除去され、Dry型で重視されるair embolismによる血栓形成の関連が著明に改善されること、また、湿潤化によるEVALの分子形態学的な変化もアルブミンを主成分とする蛋白付着形成に有利に作用するのであろう。
  • 芝本 隆, 斉藤 博, 武内 重五郎
    1985 年 14 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Ethylene-vinylaleohol膜(EVA膜)dialyzerの抗血栓性の機序を追求する目的で, 市販されているEVA膜dialyzerより, ethylene alcoholにて抽出し濃縮した抽出物をウサギに投与し, 投与前後の血小板凝集能を検討した。コントロールとしてethylene alcoholを濃縮した溶液をウサギに投与した。抽出残留物と抽出後の中空糸膜を赤外分光光度計により分析した。EVA膜よりの抽出物を投与した群ではADP 10μM血小板凝集能で投与前に比し投与後で有意の低下がみられ, collagen, arachidonic acidでは低下傾向が認められた。コントロール群では投与前後に差はみられ左かった。赤外吸収スペクトルで抽出残留物と中空糸膜の赤外吸収スペクトルは類似しており, 抽出物はEVA膜のオリゴマーと思われた。以上より, EVA膜dialyzerの抗血栓性は, その1つの原因として, 膜材料そのものが血小板凝集能を低下させることによると考えられた。
  • 前川 たかし, 西本 憲一, 田中 寛, 海本 浩一, 泉 暢英, 岸本 武利, 前川 正信
    1985 年 14 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の血小板cyclo-oxygenase (PCO)活性をTBA法による血小板MDA産生能を測定すうことにより観察し, 健常者と比較検討し, さらにAcetylsalicylic acidを用いてPCOを阻害した後, その回復時間より血小板寿命を測定した。血液透析患者のPCO活性は8.1±1.9nmol/109 platelets (Mean±S. D.)であり, 健常者の12.9±1.8nmol/109 plateletsに比し有意に低下していた。また, 血液透析前後におけるPCO活性は, 有意な差を認めなかった。血液透析患者の血小板寿命は6.7±1.0日であり, 健常者の10.3±0.9日に比し有意に短縮していた。これらの事は, 血液透析患者には依然として血小板機能障害が存在しており, 血液透析によっても十分に改善されていない事が示唆される。
  • 川杉 和夫, 森岡 真知子, 東恩 納厚, 中村 一路, 風間 睦美, 木下 忠俊, 安部 英, 岩田 久恵, 三島 陽一, 飯島 真一
    1985 年 14 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    維持透析中の6名の患者について透析中の血小板, 凝固・線溶系の変化をCellulose. PMMA, EVAL 3種の透析膜を用いcrossover法で検討した。
    その結果, 1)血小板数は不変であったが, PF4は一過性に, β-TGは経時的に上昇し, 透析時血小板が活性化されると考えられた。2) F. XII, F. VIII, Fbgには有意の変動がみられず, またSFMCの増加もなかったが, FPAは透析前高値で, 透析中一時低下したあみであって, これら患者は凝固亢進状態にあると考えられた。3)ブラスミノゲン, α2-PI, FDPはほゞ正常で透析により有意な変動を示さなかった。しかしBβ15-42は透析前高値であり, 透析中も高値を保った。症例の中には透析中にブラスミノゲンアクチベーターの明らかな増強を示したものがあり, 腎不全患者は必ずしも線溶低下状態にあるとは考えられなかった。
  • 山上 征二
    1985 年 14 巻 1 号 p. 61
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 南部 正人, 草刈 修一, 伊東 由美, 松橋 茂子, 熊野 和雄, 酒井 糾
    1985 年 14 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    消化管出血、術後のhigh bleeding risk factorを有する患者を対象として53症例、計412回中、無坑凝固剤透析10症例60回、減ヘパリン透析43症例352回施行し、安全に治療を行う目的でprospectiveに1)総ヘパリン投与量2)血液凝固時間の変動3)透析後の血液浄化器の凝血度合について検討を加えた0減ヘパリン透析での総ヘパリン投与量は平均1742unit(5時間透析)で透析後の血液凝固時間延長は認めず、また血液浄化器の凝血度合III(50% clotting)~IV(85% clotting)は22.7%に認めた。無坑凝固剤透析での凝血度合III~IVは15%に認め、透析後の凝固時間に差は認めなかった、また同一症例におけるEVAL膜とクプロファン膜の比較では両膜に大きな差は認めなかった。従って、(1)特殊回路の使用(2)十分なる血液流量の確保(3)shear rateの高い浄化器の使用等が、特に無坑凝固剤透析施行時には必要条件と考える。
  • ―流体力学的面から検討を加えた無抗凝固剤透析専用回路の試作―
    舘山 光浩, 石沢 勇, 西巻 寛, 大村 誠, 高坂 美子, 小野寺 孝夫, 奈良 義昭
    1985 年 14 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在、血液透析に於いて、出血性疾患合併症例に対しては無抗凝固剤透析が望ましく、その方法として高分子合成膜であるEVAL膜使用による有効性が数多く報告されているがこれらに対し、我々は体外循環回路系の構成の中で血液回路(特に、ドリップ・チャンバー)の凝血形成に着目、血液回路に於ける凝血形成を流体力学的面より検索、主にチャンバー内血液流路の均等化をはかり、血液停滞部を少なくしたチャンバー形状に改良することにより、80回の臨床使用にて膜素材等に限定されることなく、各種ダイアライザーにて簡便且つ安定した無抗凝固剤透析を可能とし、更に、患者に於ける血液性状変化よりなる施行の影響に対しても、トロンボ・エラストグラムを用いることで透析中に於ける回路内凝血形成時期などの把握ができ、施行に於ける円滑化を促すことができた。これらより、無抗凝固剤透析施行は、回路内血液分配状態を均等に保つことが、透析膜素材やport部構造による影響を抑制することが今回の施行に於いて明確化された。
  • 上野 信一, 谷田部 哲夫, 永井 弘, 美留 町勉, 石山 卓良, 三上 孝宏, 三澤 英雄, 福留 裕一郎, 松井 則明
    1985 年 14 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Caフリー透析にクエン酸ナトリウムを用いて, 無ヘパリンによる局所抗凝固法の検討を行なつた。DialyzerはPMMA膜を使用し, 透析液クエン酸濃度は10mEq/lと20mEq/lとした。pH調整剤として, 2mEq/lのクエン酸をそれぞれ含有した。ionized Ca, 血液ガス, カオリン賦活全血凝固時間(KCT)を測定した。クエン酸20mEq/lの透析液による, ionized Caの除去率は96.9±4.3%であつた。動脈ラインより2.2%クエン酸ナトリウム(ACD-A液)を注入することで, Dialyzer入口付近のionized Ca濃度の約50%低下した。4.4%クエン酸ナトリウム注入より, Dialyzer後のionised Caが透析終了時まで測定感度以下となつた。4.4%クエン酸ナトリウムを120ml/hr注入することで, 透析液クエン酸濃度を10mEq/lまで低下させることが可能となつた。透析前後の全身血の凝固時間はあまり変動がなかつた。以上により, この方法による局所抗凝固法の有用性が確められた。
  • 稲垣 豊, 天野 泉, 石榑 秀勝, 加納 英行
    1985 年 14 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者の脳血管障害, 消化管出血は難治性であり, ヘパリンが出血を増悪させる。我々は新しい抗凝固剤としてgabexate mesilate (GM)を223例の出血性合併症を有する患者の透析に使用した。GMは分子量が417で一部は透析され, 加えて血中のエステラーゼにより分解されるので透析回路のみ凝固時間を延長させる事が可能であった。半面, 回路V側が凝固しやすく一部の症例でV圧が上昇して透析続行が困難になったが, 2連V側チェンバーを使用したところこの欠点を克服できた。GM量は単独では1500~2000mg/Hr必要であり, ヘパリンを100U/Hr加えると600mg/Hrまで減量する事ができた。術後の患者の透析においてもGMによる出血増悪は全く認められず, 術後管理がきわめて容易になった。又, 大量消化管出血の症例においては, 減ヘパリン透析や腹膜灌流の時期は救命率4割であったが, GM使用後7割6分まで上昇した。
  • ―ヘモクロンタイムを指標として―
    北本 康則, 扇谷 博, 残間 保雄, 宮城 京子, 門間 弘道, 高橋 寿, 石崎 允, 上田 仁, 田熊 淑男, 二木 源, 関野 宏
    1985 年 14 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Gabexate Mesilate (GM)は, 近年ノンヘパリン透析において頻用されている。今回28症例を対象とし, 特殊回路を用いGMの減量化を試みた。普通回路使用群(I群)13例, V側チャンバー並列回路使用群(II群)4例, 頻回交換可能なV側チャンバーを有する回路使用群(III群)が11例であった。回路のプライミングには, I群でGM200mg, II, III群でヘパリン約300単位を用いた。GM使用量は, I群で1600mg/H, II群で800mg/H, III群中9例で800mg/H (II-A), 2例で600mg/H (III-B)とした。全例で透析後の出血助長は認められなかった。チャンバー内凝血によるV側回路交換は, I群で3例あったが, II, III群では認められなかった。チャンバー交換は, II, III群において1~2回であった。ダイアライザー内残血は, I群>II群>III群の順であった。これらの結果より凝固異常のない症例では, 透析中にV側チャンバーを1~2回交換することによりGMの使用量を800mg/Hまで安全に減量できると結論した。
  • 越川 昭三
    1985 年 14 巻 1 号 p. 86
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 上田 峻弘, 城下 弘一, 桜井 哲男, 片岡 是充, 田村 志郎, 藤沢 卓
    1985 年 14 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析装置自動制御システム(CAM System)は、体重計及び個人用透析装置より送られて来る情報を、中央処理装置(CPU)で処理し、TMPを自動的に制御し、設定体重に至るよう正確it除水する。また、各装置の作動の正否を警報により監視する。本装置で行なった血液透析より無作為抽出した40回の平均設定体重変化量と、平均実測体重変化量は、r=0.924(P<0.001)で高い相関が得られた。除水は前もって設定した最終目的体重になる様に、透析時間内に平均的且つ自動的に行なわれ、一過性の除水過多による低血圧や、それit伴う頭痛、嘔吐等の臨床症状は軽減した。また、透析中の緊急補液等による除水量の引き残しはみられず、種々のプログラムによる計画除水も容易に行ない得た。中央処理装置による集中管理が出来、透析患者の安全性と、安定透析に有用であり、多様化する透析業務の合理化が可能である。
  • 粟田 僚一, 岸本 武利, 山上 征二, 泉 康伸, 野口 康夫, 前川 正信
    1985 年 14 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜素材としてポリスルホン系樹脂を使用した新しい血圧駆動型の血液濾過器を開発し, ビーグル犬を用いた動物実験を中心に性能評価を行なった。使用した血液濾過器は, ポリスルホン系樹脂製中空糸(膜厚40μ, 内径225μ, 有効長160mmあるいは115mm)3,000本で構成され, 有効膜面積0.34m2あるいは0.23m2のモジュールである。1本のモジュールで50~100時間以上の連続使用が出来, 濾過性能として平均600ml/hr以上のUFRが得られ, 溶質透過性能については, 尿素, クレアチニン等の低分子量物質のS. C. はほぼ1で, アルブミン以上の高分子量蛋白のS. C. はほぼ0であった。また, 使用後のモジュールのポート部分や中空糸内の残血はほとんど認められず, 抗血栓性にも優れていた。
    今後, 臨床応用も充分可能であり, 適応範囲もかなり広いと考えられる。
  • 高橋 源作, 吉田 俊彦, 広瀬 正美, 三田地 広和, 宇津宮 寿彦, 小川 秋広, 天野 泉
    1985 年 14 巻 1 号 p. 95-97
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Single Needle法は, シャントトラブルや緊急の透析に対する一時的な透析法として有用な方法であるが, Single Needle法それ自体の機能的欠点として, カテーテルのゲージ数にもよるが, 血流量, 透析効率共に劣る。これは, 動静脈回路のクランプ開閉に伴う実質血流量の不足が, 主な要因と考えられる。我々は, Single Needle法の血流量の確保について装置面の工夫を行った。19G Single lumen Typeのカテーテルを用いた基礎実験(In vitro)を行った結果, QB:150ml/min(ポンプ指示流量)で送血した時, 実測流量は, 10~15ml/minの吐出ロスが生じる。この為, Single Needle透析1回当りの血液ポンプ回転数に応じたパルスを発生させ, 電子カウンターにカウントさせるポンプ回転数制御方式とした。すなわち吐出ロスの分だけ余分に回転させることになる。この方法により血液透析は5.5時間を要し, BUN, Creatinineの除去率は, 58.3%及び55.6%であった。
  • ―volume reservoirの開発―
    稲垣 豊, 天野 泉, 吉田 俊彦, 寺町 教詞
    1985 年 14 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    single needle dialysis (SND)が, double needle dialysisに比べ効率が劣る主な理由は無効血流と再循環が存在する事である。そして, 双方ともで分間のA・V側切り替り回数が増すほど多くなる。無効血流は血流ポンプの空回りとcatheter又は針とY字管のdead spaceが原因しており, 水道水を用いた実験においては予想流量を大きくするほど多くなり, 有効流量はそれだけ減少した。又, この傾向は上限V圧を低く設定するほど顕著であった。我々はこのたびA・V側切り替り回数を減少させてもV圧が上昇しない様にvolume reservoirを有する特殊回路(VR回路)を考案し試作した。VR回路はcontrol回路に比べ, A・V側切り替り回数およびポンプの空回りに基づく流量誤差を減少させる事が可能であらた。又, VR回路のこの効果は上限V圧を低く設定するほどより有効に表われた。
  • 大和田 寛美, 直井 正, 中村 雄一, 坂川 晃一, 高橋 雅彦, 小笠原 陽
    1985 年 14 巻 1 号 p. 104-106
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Acetate個人用透析装置Centry-2(C-2)をbicarbonate透析が行なえるように改良した。基本sgstemは、1) bicarbonate透析(BC-HD)用基本原液(A液)をC-2本来の機構にて希釈する(A'液)。2) 5%のHCO-3溶液(B液)をbicarbonate供給用pump(C-2用concentrate pumpと同一のassembly)により、C-2のcontrol conductivity cellとstabilizerとの間のA'液に注入する。1), 2)より(A'+B)液となりdialyzerへ供給される。濃度警報systemは、A'液, (A'+B)液濃度の2段階にmonitorを対応させる必要がありmonitor範囲切り換え装置(control converter)を作製した。Running testの結果、(A'+B)液の各測定値は、pH 7.194±0.009, PCO265.9±1.7mmHg, HCO-325.4±0.6mEq/L, Na 139.6±0.7mEq/L, K 2.4±0.0mEq/Lと良い安定性を示した。当systemによるBC-HDは、安全性も高く十分に臨床使用司能と思われる。
  • 天野 泉
    1985 年 14 巻 1 号 p. 107-109
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    一時的な緊急用Blood Accessとして留置用カテーテルが有用であるが, 今回は各種Double Lumenカテーテルの41例における臨床経験を報告する。使用した4種のカテーテルのうち, 3種までが, 2個の半円筒構造を呈し, 血管内挿入法, 留置法が容易であった。1~2週間の留置では, 合併症も少く, 非透析中の歩行も可能であった。ダブルルーメンカテーテルは, シングルルーメンカテーテルに比し, 血流量が豊富であり, その用途は広いが, 非透析時の留置中の抗凝固剤の使用方法を十分に検討すべきである。
  • 阿部 富彌
    1985 年 14 巻 1 号 p. 110
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 山下 明泰, 南雲 裕子, 日台 英雄, 熊野 和雄, 飯高 喜久雄, 酒井 糾
    1985 年 14 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CAPDにおける溶質輸送因子を、分子拡散項と対流項とにわけ、腹膜の物質移動パラメータ(総括物質移動膜面積係数および反発係数)を求めた。これらの値は溶質の分子量と患者の体液量を用いて、実験式で整理することができた。この2つのパラメータにより各溶質の除去を支配する推進力を調べたところ、CAPDでは小分子のみならず、蛋白質でさえも分子拡散による輸送が大きな割合いを占めることがわかった。しかしこの結果を用いた31透析液による3回交換法の予測によれば、小分子の除去量は増加するが、蛋白質の漏出量は不変という、既報の結果と一致した。蛋白質の除去量は液量を11とした場合にも、同一時間に対してほとんど変化しないことから、蛋白質の輸送は透析液量(流量)ではなく、腹膜の透過が律速段階の拡散機構で説明されることがわかった。
  • ―特にフレームロツク(FLAMELOK®)システムの材質と性能について―
    磯野 啓之介, 森田 浩智, 星野 尋志, 片倉 健男, 渡辺 尚美, 鈴木 利昭, 太田 和夫
    1985 年 14 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在、CAPD療法における最も大き左問題として、腹膜炎がある。我々は灌流液バツグの交換操作ミスによる腹膜炎を減少させるため、火炎滅菌を用いたジヨイント方式(FLAMELOK®)を開発し臨床を行つてきた。第四回のISAOのシンポジウムにおける太田らの発表によれは、腹膜炎の発生率は非常に低かつた。しかし、セラミツクスジヨイントについて破損や閉塞左どの点を指摘された。そこでセラミツクスジヨイントの材質を改良し、耐久性・安全性の面から従来のものと比較検討をした。耐熱性, 強度などの物性は従来より向上し、滅菌性能については同等か、やや優る結果を示した。また灌流液に与える交換操作の影響として、ブドウ糖の熱分解生成物である5-ヒドロキシメチルフルフラールの定量を行つたが、濃度の変動はほとんどなかつた。以上のことからFLAMELOK®システムの安全性はさらに向上したものと考えられる。
  • 佐中 孜, 寺岡 慧, 佐藤 博司, 樋口 千恵子, 小俣 正子, 荒井 純子, 詫摩 武英, 杉野 信博, 本田 宏, 八木 沢隆, 高橋 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 119-122
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    持続的腹膜灌流法を3名の重症型急性膵炎患者の治療に応用した。
    これらの症例は、いずれも救命しえた。このうち、第1例は後腹膜腔、膵偽嚢胞、胆嚢それぞれへのドレナージの併用を必要とし、第3例も胆嚢ドレナージを造設しているが、第2例は、腹膜灌流法のみで、膵偽嚢胞の消失をはかることができた。
    急性膵炎活動期の腹膜のアミラーゼ・クリアランスは、3.9±1.0ml/min(M±SE)と、腹膜炎のない慢性腎不全患者のそれと比較して14倍近く上昇していた。また、アルブミン・クリアランスも13.2~0.7ml/minと高値を示し、腹膜の透過性亢進を示しているものと思われた。
    以上より、腹膜灌流法は、腹腔内および後腹膜腔に逸脱した膵酵素の除去に有用であり、それによって、予後不良とされる重症型出血性あるいは壊死性膵炎を治療することができるものと判断された。
  • 頴川 晋, 篠原 克人, 熊野 和雄, 酒井 糾
    1985 年 14 巻 1 号 p. 123-125
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    急性腎不全5名を含むプアーリスク患者8名に於て, 1978年Posenらにより導入されたCEPD(continuous equilibration peritoneal dialysis)を用いて透析管理を行った。CEPDは従来の透析法に比し, 以下の点で優れているものと思われる。即ち1) 水分除去量の調節が容易で, 高カロリー輸液などに於ける水管理がし易い。2) 持続的でコンスタントな24時間透析であり, 血液透析や急速腹膜透析に於けるような急激な血中尿毒素, 電解質, 血漿浸透圧の変化がなく, より生理的である。特に, 頭蓋内圧亢進症例に於いては脳圧変動に対する影響が少なく, 脳ヘルニア発生の危険も少なくコントロールが容易となる。3) 腹膜炎発生の危険がより少ない。4) 手技は容易で修復し易く, スタッフの負担は軽減し能率的である。などである。以上よりCEPDは, プアーリスク患者での透析管理に適するものと思われた。
  • 熊野 和雄, 篠原 克人, 頴川 晋, 横田 真二, 南部 正人, 草刈 修一, 酒井 糾
    1985 年 14 巻 1 号 p. 126-129
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CCPD(Continuous Cyclic Peritoneal Dialysis)は細菌性腹膜炎の発生及びバッグ交換の繁雑さを軽減し、かっCAPDの長所を保持する腹膜透析法として近年急速に普及しつつある治療法であるが、今回我々は3名のCAPD患者にCCPDを試みた。3名中、1名は訓練の早期に脱落したが、2名は自宅にてCCPDを施行し、昼間の活動能力向上、臨床症状の改善などの利点を認めた。家庭治療中に機器のトラブルは皆無であった。CAPD患者は種々の臨床的有用性の恩恵を受けてはいるものの頻回のバッグ交換による時間的束縛のもとに治療を行なっているが、このCCPD療法は患者又はその介助者の精神的ストレスを軽減させる事が可能であり、患者の昼間の活動をより自由にさせる事ができ、又、一般的なCAPD治療では透析不足となる患者への補助療法としても非常に有益であり、今後、本邦での普及が望まれる。
  • 小野 利彦
    1985 年 14 巻 1 号 p. 130
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 江良 和雄, 峰島 三千男, 阿岸 鉄三, 山形 桂仁, 鈴木 利昭, 久保 和雄, 杉野 信博, 太田 和夫
    1985 年 14 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Kramerらが利尿剤に反応しない肺水腫の患者にAmicon Ultrafilterを用いContinuous Arteriovenous Hemofiltration(CAVH)により過剰水分の除去を行ったことを1977年に報告した. その後この血液浄化療法が血行動態に影響をあたえず, また特別な装置などを用いず長時間の体液管理が容易なことからうっ血性心不全の疾患にも適用されるにいたった. われわれはこの方法の特徴を活かし溶質除法も必要な治療にたいしても適用可能なシステムとして, 濾液と補充液の交換量を調整できる小型のバランス装置を備えたmildで長時間のHemofiltrationであるContinuous Hemofiltration(Continuous HF)を施行した. また2-compart mentmodelにより濾過器, 治療時間と濾過量の至適な関係について検討を加えた. この解析によりCAVH用濾過器でも充分使用可能であり, 治療時間が24hr/dayとすると時間当りの濾液と補充液の交換量は約800ml/hrと算出された. この解析をもとにしてCAVH6症例, Continuous HF 3症例について治療法の検討を行った. その結果CAVHの特徴を損ねることなく, また血行動態に影響を与えず確実に治療が行なうことができた.
  • 室谷 典義, 平澤 博之, 小林 弘忠, 添田 耕司, 小林 進, 伊藤 靖, 小高 通夫, 佐藤 博, 嶋田 俊恒, 入江 康文, 桜井 ...
    1985 年 14 巻 1 号 p. 135-138
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    最近の患者管理の進歩はめざましく, それに伴い治療も複雑化し、何らかの病態生理下に尿量減少を来している患者にもIVHのcarrier water等, 多量の水分の投与を余儀なくされる場合が稀ではない。尿量が減少しており利尿剤に反応しない患者のexcesswaterを簡便に除去する方法を見いだすことを目的として基礎的実験を行なった。本研究では雑種成犬にて, 病的溢水の状態を作製し、CAVHを施行, その有効性及び至適施行法を検討した。血清総蛋白, 中心静脈圧, 筋肉内水分量, 血液ガス等の変化より, 病的溢水は、CAVHにて改善されることが示された。Na, K, Clのsieving coefficient(SC)はほぼ1であり, 尿素窒素, クレアチニンのSCは約0.9であり総蛋白のSCは0であった。今回施行したPumplessで補充液を用いないCAVHは溢水の治療に対し有効であった。今後は, 腎不全等に対し補充液を用いる, より積極的なCAVHを施行していく予定である。
  • 高橋 健, 大友 正浩, 西山 謙一, 小林 力, 高山 公洋, 平良 隆保, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1985 年 14 巻 1 号 p. 139-143
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Multi-organ failure(MOF)を合併し, 通常の血液透析やhemofiltrationが施行困難であった腎不全患者8例に, 超小型血液濾過器と新開発の重曹補充液を用いた持続的血液炉過法(CHF)を施行した。CHFはQB60~100ml/hr, QF 1l/hrを原則とし, 5~36時間, 最高14回試みた。本法により, 8例中5例で危機的状況よりの離脱が可能であった。
    本法は臨床上充分な除水, 溶質除去, 電解質平衡是正効果を持つ。またアセテートを使用せず体外循環血液量が極めて少なく, 緩徐な治療を行なうため循環系に与える影響が軽微で,このような利点から本法は腎不全患者のみならず, 重症心不全, 肝不全, 乳酸性アシドーシスなどの治療にも応用可能と考えられた。今後, 性能低下の少ない炉過器や周辺機器の開発により, 本法が重症MOF患者の治療に広く応用されるよう期待される。
  • 児島 弘臣, 宍戸 寛治, 中山 蟻, 高橋 健, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 鈴木 正司, 平沢 由平
    1985 年 14 巻 1 号 p. 144-148
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液濾過療法用補充液のアルカリ化剤に起因する問題点を解決する目的で, 新方式の重曹補充液を開発した。本法では従来の重曹非含有液に重曹を注入する方式を改め, 重曹含有液にCa, Mgを補充する方法を用いた。補充液はNaCl, KCl, NaHCO3より成るA液とCaCl2, MgCl2, ブドウ糖, 酢酸ソーダを含むB液を、使用時100:1に用手混合し, 最終濃度はNa 140, K2.0, Ca 3.5, Mg 1.O, Cl 111, HCO3 35, CH3COO. 0.5mEq/l, ブドウ糖100mg/dl, PH 7.35となる。本組成は混合後24時間の室温放置によっても変化せず, その安定性が確認された。4例の透析困難症例, 重症合併症例での検討では本補充液を用いた血液濾過で安定した治療が可能であり, さらに十分な電解質, 酸塩基平衡是正と溶質除去効果が認められた。また, 5ケ月間にわたる長期使用によっても補充液に起因する副作用はみられなかった。以上より, 本補充液は今後幅広い腎不全症例の治療に有用であると考えられた。
  • ―ex vivo装着実験―
    牛田 多加志, 舟久保 煕康, 土肥 健純, 田古里 哲夫, 高井 信治, 竹内 啓, 大橋 文人, 大久保 昭行
    1985 年 14 巻 1 号 p. 149-152
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    濾過―吸着法に基づく装着型人工腎臓の開発をかねてより進めてきたが,各コンポーネントの性能評価ならびに机上システムのex vivo実験による評価を終了し, それらの結果をふまえ装着型人工腎臓システムを組み上げ, 実験的尿毒症犬を用いての装着実験を行なった。血液炉過器で得られた濾液の浄化は吸着カラム(尿素, 尿酸, クレアチニン, リン等の吸着)およびイオン調整カラム(各イオン濃度の補正)によって行なわれる。濾液の一部は一日の除水量にみあっただけ採尿バッグに送出される。また圧力のモニタ, 除水量, 除水パターン, 抗凝固剤注入量の制御および漏血検知等はマイコン制御のコントローラで統括して行なわれる。システムはすべてNi-Cd電池で駆動され, 血液濾過器, 吸着カラム, イオン調整カラム, コントローラ, バッテリならびにプライミング量を含めたシステムの総重量は3.5kgである。
  • 神品 順二, 竹沢 真吾, 酒井 清孝, 山下 明泰, 島村 寿一, 本間 崇, 日台 英雄, 中西 光, 井上 政昭
    1985 年 14 巻 1 号 p. 153-156
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    WADICを血中溶質濃度モニターとして用いて、高性能ダイアライザーによる短時間透析の評価を行なつた。治療効果を評価する上で、次のパラメータを導入した。
    (1) R 除去率(%)
    (2) CL・td クリアランスx透析時間(1)
    (3) M/CB0 溶質総除去量÷透析初期血液中溶質濃度(1)
    クレアチニンについて、WADICによる計算値と検査データによる実測値で比較したところ、両者の間に良い一致が得られた。さらに本報では除水モニターシステムを開発し、臨床に応用した。これは圧トランスデューサとコンピュータを組み合わせたもので、陽圧型であればどのコンソールにも使用できる。臨床応用の結果から、除水モニターとして十分使用可能である。
  • 篠田 俊雄
    1985 年 14 巻 1 号 p. 157
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小沢喜 久夫, 老沼 正芳, 河田 一郎, 酒井 清孝
    1985 年 14 巻 1 号 p. 158-161
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ダイアラィザーおよび透析膜に於ける体内電解質の移動特性の把握は、膜設計、ダィアラィザー設計、さらには血液透析システムの改善に寄与するところが大きい。本報では、ダィアライザーおよび透析膜での電解質透過性について、水溶液in vitro実験を行い、基礎的検討を加えた。また、機能性高分子膜である負荷電膜について同様の実験を行った。その結果、次の知見が得られた。(1) 電解質の膜透過性の大小は拡散係数、水和半径を考えれば定性的に説明できる。(2) 電解質の透析膜透過性は、非電解質と異なり膜構造のみに支配されず、膜構造、膜素材と電解質との相互作用に影響を受ける。(3) 負荷電膜の電解質透過性は、ダイアリザンスとして見た場合、膜の電荷の影響は極めて小さい。(4) 負荷電膜は負に帯電した高分子溶質をほぼ完全に阻止する。以上の結果のうち、負荷電膜については、(4) の理由より、臨床応用する場合、長期的な検討が必要と考える。
  • 前田 憲志, 新里 高弘, 鶴田 良成, 臼田 正恒, 吉田 文直, 石原 利員, 稲垣 大, 五十嵐 伊勢美, 北野 知之
    1985 年 14 巻 1 号 p. 162-165
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液と限外濾過液のelectrical resistivity(ER)を体外循環血液回野内で連続モニターし, この値をGeddesらのERとヘマトクリット(Ht)の関係式に代入してHtを算出した。同時に, 臨床検査室にて測定したHt値とERによるHt値との相関を検討した。また, 両者の相関をさらに高いものにするために, Geddesの式を変更してHtとERとの新しい関係式を作成した。
    Hemofiltration(HF)により治療中の慢性腎不全症例の血漿量を連続モニターしたところ, 次のような所見が得られた。
    (1) 体位を仰臥位から坐位に変更すると, 血漿量は4.2±0.3%(mean±S. D.)減少する。
    (2) 体液除去速度を一定にして, 仰臥位で飲食をさせずに治療すると, 血漿量は徐々に低下する。食事のために坐位になったことにより体液量は減少し, 食事によって食後血漿量の減少速度は低下する。
  • ―近似式による簡易計算法の検討―
    戸恒 和人, 野月 満, 古山 隆, 吉永 馨
    1985 年 14 巻 1 号 p. 166-169
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析膜を介する溶質移動は, 拡散とconvectionの両機序により起こるが, 今回, 我々は, 拡散による移動量は透析器全体の平均濃度差に比例し, convectionによる移動量は透析器全体の平均濃度と限外ろ過量に比例すると仮定した近似計算式を考案し, 検討した。即ち, Qbi・Cbi-Qbo・Cbo=hA・△Cbd+Scm・UFR・Cbd
    即に我々が報告した詳細な計算法と比較すると, 広い条件範囲では平均濃度差△Cbdに対数平均〔L〕を, 平均濃度Cbdに算術平均〔M〕を用いた〔L+M〕法が最も良い一致を示し,hAが小さい時は〔M+M〕法も良い一致を示した。in vitro実際データより, hA, Scmを求める際にも〔L+M〕法は計算が簡単であり, 誤差も小さく, 充分実用になることが判明した。本計算法を用いた検討の結果, S1, S2を定数として, 一次式Cbo=S1・Cbi+S2・Cdiが成り立つことが示された。
  • 申 曽洙, 新光 聡子, 藤田 嘉一, 井上 聖士, 坂井 瑠実, 西岡 正登, 駒場啓 太郎
    1985 年 14 巻 1 号 p. 170-173
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    クラレ社のEVAL(C, D)膜は蛋白を漏出する特殊な透析膜であり、これらと従来のセルロース系透析膜のCupmphan(CUP)膜及びCollulose Acetate(CA)膜を比較する. と、各膜HFKの小分子量溶質の除去率とクリアランスはEVAL膜で小さくCUP膜で大きく(CA膜はこの中間)、大分子量溶質のSieving Coefficient(SC)はこの逆にEVAL膜で大きく、CUP膜で非常に小さかった(CA膜はやはりこの中間)。EVAL膜の中では、EVAL-C膜のSCが、Prolactin以上の大分子量溶質についてEVAL-D膜より有意に大きかった。セルロース膜透析とEVAL膜透析の2群9例の外来透析各20ケ月余の臨床経過から、EVAL膜透析で血小板数、白血球数、P、Cholestoml、Fibrinogenの上昇傾向とAlbumin、IgGの低下、Cuprophan膜HFK透析でCreatinineの低下とCaの上昇が観察された。以上、EVAL膜透析は、蛋白ロス(Albumin、IgGの低下)とそれに伴うと思われるCholostorol、Fibrinogonの上昇とともに、血清Caの低下とPの上昇が特徴的であり、また、血小板数と白血球数の上昇傾向が観察され、興味深かった。
  • ―特にセルロース系膜について―
    高木 豊已, 鄭 大基, 小川 洋史, 斎藤 明
    1985 年 14 巻 1 号 p. 174-177
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在のprotein-pemeable hemofilterはC-2(EVAL膜)などの合成膜が主である。しかし, 合成膜はpore sizeが不均一であるため低分子蛋白以外に相当量の高分子蛋白までの濾過を認めている。今回, 新たに開発されたセルロース系ヘモフィルターの小分子量物質から高分子蛋白物質の除去性能を比較検討した。ヘモフィルターはテルモ: TAF120S(再生セルロース膜), Cordis Dow:Duo-Flux HP(セルロース・アセテート膜)である。HDF法, ECUM法により得た濾液を二次元電気泳動, SDS-電気泳動により分析した。アルブミン漏出量はTAF120S:3378mg, Duo-Flux HP1395mg, C-2:9957mg, TK-401: 6536mgを示した。セルロース系膜は合成膜と比較してアルブミン漏出量がTAF120Sで1/2-1/3, Duo-nux HPで1/5-1/7と減少していた。一方, retiaol-binding pmtein(RBP)の漏出量はアルブミンのそれに比例しては減少せず, RBP/アルブミン出は, TAF120S:2.3%, Duo Flux HP:6.4%, C-2:1.7%, TK-401:0.9%であり, セルロース系膜ヘモフィルターは合成高分子膜ヘモフィルターより物質阻止曲線が急傾斜で適した素材と考えられる。
  • 広畑 衛, 斉藤 明, 内藤 秀宗
    1985 年 14 巻 1 号 p. 178-181
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来のダイアライザーやフィルターを用いた血液透析または血液濾過では改善し得なかった透析合併症の貧血・骨痛・イライラ感・掻痒感に対して、相当量の蛋白透過があるCut off pointの高いEVAL-C膜を用いたProtein Pemeating Hemodialysis(PPHD)が有効であると報告してきた。今回従来のC膜よりUFR, Cut off pointの低いEVAL-CD膜が試作されたので、蛋白領域の透過性および臨床効果について検討を加えた。CD膜の蛋白領域の透過性はC膜と標準のEVAL膜の中間より若干C膜寄りであった。CD膜の臨床効果はセルロース使用期に比較して掻痒感・イライラ感・骨痛に改善がC膜と同様に進められたが、やや緩徐であった。血液データの比較では、赤血球数, Hct, Hb, 血清総コレステロール値は有意に増加し、血漿蛋白, albuminは有意の減少を示した。
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