抄録
Bio-artificial人工臓器の開発にとって、生物素材である培養細胞のすぐれた機能を、いかに長期間維持していくかが、根本的で重要な課題となっている。本研究は、ラット膵ラ氏島を用い、約2週間の浮遊培養および単層培養を行い、グルコース刺激に対するインスリン分泌能を比較し、ラ氏島細胞の機能保持に関する考察を行った。インスリン分泌能は、浮遊培養では低値を示したのに対し、単層培養ラ氏島では、グルコース刺激やIBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)に対して著しい反応を示し、高い値を示した。また、細胞内インスリン含量についても、単層培養群では顕著な高値を示し、ラ氏島の長期機能維持には単層培養法が最も適した方法であることが示された。ハイブリッド型人工膵臓の開発、あるいは移植への応用効果が充分期待できるものと考えられる。