人工臓器
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急性膵炎に対する血漿交換療法の意義
武田 和憲山内 英生砂村 真琴宮川 菊雄浅沼 義博松原 修二佐藤 寿雄
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1985 年 14 巻 1 号 p. 499-502

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抄録
重症型急性膵炎は治療の進歩にもかかわらず, いまだに死亡率が高い(30~40%)重篤な疾患である。従来の治療法では, 血中に逸脱した膵酵素や二次的に生成された有害因子の除去が困難であり, これらの急速除去の面から, 急性膵炎に対する血漿交換療法を実験的に検討し, また, 2例の急性膵炎症例に対して施行した。対照群の急性膵炎作成犬は24時間以内に全例死亡したが, 血漿交換を施行した群は7例中1例が生存した。血中膵酵素は血漿交換群で対照群にくらべ有意に低下した。また, 体重の5%相当量の血漿交換で, 血中膵酵素レベルは50%程度に低下した。臨床例の検討でも, 血漿交換により血中膵酵素レベルは60~50%に低下し, 急性膵炎時の膵酵素の急速除去に有効であった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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