人工臓器
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フルオロカーボンを用いたWhole Body Rinse-outの実験的急性薬物中毒への応用
寺岡 慧阿岸 鉄三山形 桂仁小林 峰徳江良 和夫渕之上 昌平本田 宏高橋 公太太田 和夫
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1985 年 14 巻 2 号 p. 1010-1013

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抄録
perfluorocarbon (PFC)を用いて全身血を交換するNomothermic Whole Body Rinse-outを実験的急性薬物中毒および黄疸犬に施行し, その効果および安全性について検討した。PFCによる血液置換時ヘマトクリット値は5%以下となり, 循環血液量の約90%が交換されたと考えられる。PFCの回収は遠心分離により行い, その回収率は64.8%であった。本法施行中血圧, 中心静脈圧, 尿量などは安定しており, PaO2は350mmHg以上, 直腸温は36℃前後に維持された。両側尿管を結紮し急性腎後性腎不全の状態としたイヌに, digoxinおよびparaquatを投与して本法を試みたところ, そのclearance rateはそれぞれ90%, 80%であった。あらかじめ総胆管を結紮して得られた黄疸犬においては, 本法によるビリルビンのclearance rateは90%であった。本法は安全かつ有効な血液浄化法として, 将来急性肝不全あるいは急性薬物中毒に対する臨床応用が期待される。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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