人工臓器
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新しい抗血栓性材料を用いた一時的体外バイパスチューブの実験的評価
大久保 修和広瀬 一松田 置中埜 粛白倉 良太前田 世礼大谷 正勝堀田 隆久野村 文一桜井 温川島 康生依田 隆一郎金子 憲明
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1985 年 14 巻 2 号 p. 717-720

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抄録
一時体外バイパスチューブに, 新しい抗血栓性材料をコーティングし, その抗血栓性について実験的検討を試みた。ポリ塩化ビニル(PVC)チューブをコントロールとし, Cardiothane, K III2をコーティングしたチューブで, 実験犬に一時体外バイパスを作製した。肉眼的・電顕的に血栓形成の状態を観察し, 3者を比較検討した。PVCでは肉眼的・電顕的に著しい血栓形成を認めた。Cardiothaneでは肉眼的に微小血栓が存在し, 電顕的に著しい血小板粘着と軽度の血小板形態変化を認めた。K III2では肉眼的には微小血栓を認めず, 電顕的に血小板粘着は軽度であったが, 形態変化は比較的強かった。チューブの部位による相違では, 中央部での血小板粘着と形態変化が先端部より著しい傾向にあった。以上よりポリウレタンポリジメチルシロキサン系の新しい抗血栓性材料であるK III2は, Cardiothaneと同等か, やや優れた抗血栓性を有していると思われ, 今後その応用に期待できると考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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