人工臓器
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リング付EPTFE(Gore-Tex)人工血管を使用した短絡手術症例の検討
星野 修一副島 健一河田 政明黒沢 博身高梨 吉則今井 康晴高尾 篤良
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1985 年 14 巻 2 号 p. 962-965

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抄録
肺動脈低形成のチアノーゼ性心疾患に対する短絡手術々式は, Blalock-Taussig手術をはじめとして数多くの術式がある。さらに, FPTFE人工血管など人工血管の導入により, その術式は多種多様となってきた。しかし, 従来多く用いられてきた人工血管は, 屈曲による狭窄が生じやすい。そこで, 彎曲による狭窄の生じることの少ないリング付EPTFE人工血管に着目し, 1983年9月より12症例に臨床使用した。その結果, 術後, 末梢動脈酸素分圧は有意(P<0.005)に上昇し, ヘモグロビン値は有意(P<0.005)に低下し, 心胸廓比は有意(P<0.005)に増大し, 有効な短絡量が得られた。また, 術後最長13ケ月の現在まで閉塞した症例はない。鎖骨下動脈が細く十分な短絡量が期待できない症例. 再短絡術症例及び年長児症例など短絡術に人工血管を必要とする症例に対しては, リング付EPTFE人工血管は有用な人工血管と考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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