人工臓器
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大動脈手術におけるH-PSDチューブの臨床経験
石原 和明中江 世明土田 弘毅秋山 一也平山 統一高 秀成橋本 明政森 有一
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1985 年 14 巻 2 号 p. 985-988

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抄録
ヘパリン化親水性材料(以下H-PSD)をコーティングしたチューブを一時体外バイパスとして用い, 胸部大動脈手術において良好な成績を得たので, 若干の実験結果も合わせて, 検討し報告する。症例は7例で, 男4例, 女3例, 年令は16歳から60歳までであり, 疾患は大動脈瘤5例, 大動脈縮窄症2例である。全例に一時体外バイパス下に, 人工血管置換術あるいは大動脈再建術を行ない, 死亡例はなかった。術中の血行動態は極めて安定しており, 上下肢の圧差は平均圧で10~15mmHgであり, 尿量も十分確保された。手術手技の上でも, 視野の妨げにならず, バイパス作製も容易であった。術後, 血栓塞栓症, 腎不全, 対麻痺などの合併症はなかった。
今後とも症例を重ねることにより, その適応は, より拡大されるものと考えでいる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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