抄録
補助循環の一方法として, 遠心ポンプ(CP)と体外式バルーン(PBP)を用いた左心補助循環装置を試作し, その水力学的特性を検討した後, 雑種成犬12頭(体重11.6-36.0kg)を用いて動物実験を行った。その結果, (1)最大2.5l/minの拍動流が得られた。(2)イヌにおいて, 補助循環時間80分の実験で, 平均50ml/kg/min, 80%補助の流量により, 平均左房圧は, 平均4.2mmHg, 左室収縮期圧は, 平均19.6mmHg減少した。(3)拡張期に同期させた時の大腿動脈圧は, diastalic augmentationを示し, 生体にとってもこの拍動流は有効であると思われた。(4)PBPを使用する場合, バルーン収縮のための陰圧は, バルーン直前の回路内の陰圧を増強するので不適当と思われた。(5)CPを用いることにより弁を用いないにも拘らず, バルーン収縮に伴う逆流は見られなかった。以上より本システムは, 十分な流量, 十分な前負荷の軽減, 易制御性といった条件を満足し, 左心補助装置として使用に耐えるものと判断した。