人工臓器
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右室壁再建に関する研究慢性期における右心デバイス壁の病理学的変化について
本郷 忠敬香川 謙仁田 新一内田 直樹三浦 誠片平 美明田中 元直笠原 和彦井口 篤志依田 隆一郎金子 憲明永瀬 敏夫堀内 藤吾
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1182-1185

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抄録

右室低形成を伴った先天性心奇形の外科治療の拡大, さらには右室収縮力低下に対する右室機能補助を目的として右室自由壁にポンプ機能を持たせて必要に応じて右室機能の代行を可能とする右心デバイス(pulsatile patch)の開発研究を行った。パッチは圧縮空気のエネルギーを用いて心電図R波に同期して駆動する。パッチの血液接触面はガーゼの編目を利用して100~300μの凹凸を付けてアブコサンで被覆した。従ってその表面はsmoothとrough surfaceの中間由なものといえる。
実験補助手段は雑種成犬では低体温法, 山羊では体外循環法を用いた。10ケ月生存の剖検所見では, 右室前面が1~3mmの厚さの結合織で覆われていたが, 心内膜側では組織の増生は不充分であった。電顕によるパッチの内側では数μの層状の附着物が認められ, その表面に100μ程度の血小板凝集塊を認めたが, EPMAの分析ではP及びCa元素は認めず, 石灰沈着は起っていないと考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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