抄録
生理的ペースメーカーを植込んだ21症例において, 血行動態の評価と植込み後の問題点について検討を加えた。
Cardiac Index, Stroke Volumeは心室ペーシングと比較して約20%の増加を認め, CTRも術前と比べ有意に減少していた。このように血行動態に関して生理的ペーシングは非常に有用であった。問題点としでは, 1) Psensing failureが6例に認められ, うち2例は心室ペーシングとして作動している。2) 逆行性伝導によるpacemaker mediated tachycardiaが1例に認められた。3) 13例に静脈造影を施行したが, 5例において鎖骨下静脈の完全閉塞と著明な側副血行が, 4例に高度の狭窄と発達した側副血行が認められた。
以上の経験より生理的ペースメーカーは心機能上は好ましいが, 問題点も多く広範囲の適応には限界があると考えられた。