抄録
正常な洞結節の機能を有する完全房室ブロックの患者にとって、最も有効なペーシングモードは心房同期型であることは、従来言われてきている。正常な心房機能を有する完全房室ブロック10症例に対し、VDD、DDDペースンーカー植え込み術を施行した。術後、VVIモードペーシングとVDDモードペーシングにて、日常生活と結びついた心機能の評価が追求できるトレッドミル運動負荷試験を行なった。VVIモード、ペーシングレート70ppmでは7.4±1.6Mets、VVIモード、ペーシングレート120ppmでは9.4±2.1Mets、VDDモード、ペーシングレート123.2±40.6ppmでは11.5±2.4Metsであった。VDDモードペーシングでは、VVIモードペーシングに比し、明らかな運動許容範囲の拡大が認められた。この拡大は心房機能、および体の要求に応じた心拍数の増加によると考えられた。なお、VVIモードペーシングにおいても、日常生活を行ない得る運動能力は確保されていた。