人工臓器
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操作の簡単な局所ヘパリン化方式術中自家血輸血装置の開発
高本 真一許 俊鋭長谷川 和康横手 祐二尾本 良三見目 恭一仲野 孝関口 敦原本 敏正駒木 聡中光 晴彦
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1523-1526

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抄録
操作が簡単で緊急時の大量出血にも応じられる局所ヘパリン化方式自家血輸血装置「Hemosaver」を開発した。回路は吸引用ポンプ, 貯血槽, 気泡探知器と回路遮断器, 送血用ポンプ, Swankフィルター, プレート型加温器が直列に連なり, 吸引口近くでヘパリンが, 送血口近くではプロタミンが点滴ポンプにてコントロール注入される。ポンプ流量, 総送血量がデジタル表示される。全身ヘパリン化は最少限でACTは体内で200秒前後に維持される。この装置を解離性大動脈瘤4例, 腹部大動脈瘤5例, 縦隔腫瘍1例に用いて, 他家輸血量の大幅な減少を見た。術後血小板は大量自家血輸血の場合減少を見たが腹部動脈瘤手術の場合には変化がなかった。溶血は輸血量によるが一応容認できる範囲内で, 術後腎機能には変化を与えなかった。呼吸機能にも悪影響は及ぼさなふった。Hemosaverは操作性に優れ, 臨床的にも安全で有用な自家血輸血装置である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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