人工臓器
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開心術における新しい血液炉過装置の使用
―Free Hemoglobinの除去―
副島 健市小柳 仁中野 礼子鈴木 進酒井 良忠
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1520-1522

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抄録
開心術における心筋保護液の大量使用や無輸血体外循環に伴う血液の過度希釈, また溶血はしばしば問題となることがある。血液希釈に対し我々は, 東レ社製B1-200を用いているが, 除水率, 血液充填量, また血中遊離ヘモクロビン(Free Hb)の除去能に問題点を感じ, これらに対して新しい血液濾過器(HF)を試作し, 性能について検討を行った。との装置は, 充填量75mlのpolymethylmetharylateを用いたhollow fiber型でUFR22ml/hr/torrの性能を有している。性能試験は人工心肺に用いた残血で行った。その結果血液を平均68.8%に濃縮した時Free Hbは170.8%に, また総蛋白(TP)は175.7%に濃縮されている(有意差なし)。これを濾液中に排泄された絶対量の比率でみてみると, Free Hbの平均10.9%に対しTPの平均は2.9%と有意差(P<0.01)をもってFree Hbの方が多く除去されていることがわかった。今後はさらにFree Hbの除去率を撰択的に高めるよう研究をすすめるつもりである。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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