抄録
体外循環126例を用いて種々検査値にみられる体外循環中及び後の変動を測定し, 作成した二次応答面モデル式とコンピューターグラフィック法の一つである三次元グラフ法によって統計学的検討を加え体外循環侵襲について考察を加えた。その結果次の事が明らかとなった。1) 体外循環中測定した各項目は加令変化, 高度血液稀釈, 低体温の程度による二相性変化などの影響が大きく正規分布を示さず, 二次応答面モデル式及び三次元グラフによる検討が有用であった。2) 乳酸代謝は低体温より体外循環時間の影響が大きかった。3) 体外循環中の糖代謝抑制は解糖系の亢進が主体であり, 7病日後も影響が遺残する例がみられた。4) LDH, GOT, CPKは相互に関与し合っているが, 体外循環侵襲の判定にはCPKが有用と考えられた。5) 体外循環初期にブラディキニン血中濃度の著明な上昇がみられ, アドレナリンよりはブラディキニンが血圧低下に関与している可能性が示された。