人工臓器
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中心冷却灌流低体温体外循環法の検討―酵素及び代謝に与える影響の統計学的考察―
松倉 裕美鵜沢 茂樹立木 利一合田 俊宏竹田 治土酒井 圭輔田辺 達三村松 宰
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1657-1660

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抄録

体外循環と併用される中心冷却灌流による低体温の影響を106例を対象に常用される検査項目を用いて検討した。その結果次の結論が得られた。1)体外循環状況を示す42項目中23項目に低体温と有意の相関が得られた。高度低体温は若年者や長時間灌流例に施行され, 低体温が高度になるに従い大量の輸血, 輸液が使用され術中尿量は減少し, 術後出血量及びドレナージ日数は増加を示した。2)体外循環による変動を測定した各種代謝及び酵素値は低体温による反応が二相性であり, 二次応答面モデル式及び三次元グラフによる検討が有用であった。3)低体温は乳酸代謝, 糖脂質代謝, LDHなどの酵素値, 血清尿素窒素などの腎機能に術後7病日に及ぶ影響を与えていた。4)常温下長時間体外循環と同じく, 低体温もかかる検査値に影響を与えたが高度低体温は体外循環時間とは別個に大きな影響を与える要因となり, 灌流時間3時間までは最低食道温29℃が影響が少なかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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