人工臓器
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体外循環における2~3の工夫
橘 史朗松田 昌三沢村 敏郎楠本 長正司尾 和紀岡田 昌義中村 和夫吉岡 薫
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1661-1667

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抄録

教室における体外循環の工夫について報告した。教室では体外循環に際して、(1)血小板凝集抑制を目的として、gabexate-mesilateを点滴投与する。(2)DM症例においては糖代謝を改善し、且つ高血糖を避ける目的で通常のGIK (GIK; 2:1:4)より糖を減らした1:1:4のGIKを用いている。(3)ACB症例及びAVR症例の如く右心系を開く必要のない手術では一本脱血法を用いて溶血を少なくする。(4)症例によりECUMを施行し、体外循環中の水分バランスの改善及び輸血量節減をはかる。
この結果、(1)のgabexate-mesilateの効果については決定的な有効性を見出し得なかった。(2)DM症例に対する1:1:4のGIK投与は高血糖を避け、且つ糖代謝の改善に有効であった。(3)一本脱血法では溶血が少なかったが、RAA系への効果は明確ではなかった。(4)ECUMは体外循環中の水分バランスの改善に有用且つ輸血量の節減効果も認められた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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