人工臓器
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敗血症性急性腎不全治療における人工的細網内皮系としてのhemoadsorntion (血液吸着)に関する研究
小林 弘忠
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1985 年 14 巻 4 号 p. 1766-1776

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抄録

重症感染症に合併せる急性腎不全(敗血症性急性腎不全, septic ARF)は, 細網内皮系(RES)機能低下に基づく有害物質のspillover現象により惹起される多臓器不全の一分症と理解され, 従来その予後は不良であった. 本研究はseptic ARF治療において活性炭を使用した血液吸着(hemoadsorption, HA)がRES機能を保持・賦活する有用な治療法か否かを基礎的ならびに臨床的に検討することを目的とした. 基礎的検討では, HAはseptic ratの肝RES機能, endotoxin解毒能を回復させ, spillover現象を軽減せしめた. 臨床的検討でも, HAはseptic ARF症例のRES貪食能を亢進させた. さらに, 従来の方法による治療群での救命率は29%(8/28)であったが, HAを施行する等のRES機能を重要視した新療法により73%(27/37)へと有意に向上した. 以上よりHAはRES機能を保持・賦活せしめる人工臓器, すなわち人工RESとして成立し, MOFの一分症としてのseptic ARF治療に有用との結論をえた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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