人工臓器
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血清ビリルビン除去法の検討
ポリアミン系多孔性樹脂(PAT)による吸着能について
鳥原 康行名倉 良一実光 章安田 和弘松島 宗弘野田 春夫石川 英二沢西 謙次鈴木 英明細田 健治窪田 貴明
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1985 年 14 巻 6 号 p. 1947-1952

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抄録
高ビリルビン血症の患者に血漿交換療法を行なって得た血清を利用して, 蛋白結合性物質の選択的吸着材であるPAT樹脂のビリルビン吸着能を, 振盪および灌流実験にて検討した. PATにより著明に吸着される物質としては, 直接, 間接ビリルビンのほか, 尿酸があり, Ca2+, クレァチニン, 尿素窒素も比較的よく吸着された. アルブミン, グロブリン, 糖, アミノ酸, コレステロール, 遊離脂肪酸, 中性脂肪, Na, K, Cl等のレベルにはほとんど影響がなかった. ビリルビンの吸着は, ビリルビン値の高い血清を使用したものほど, 吸着量が多いが, 除去率に関しては, 一定の関係を認めなかった. PATのビリルビン吸着効率は経時的に低下してゆき, 4時間後には初期の約30%であった. 今後, 温度, 流量, カラムの大きさ, 形態等の至適条件を検索し, 血漿交換療法等の血液浄化法との合理的な組合せを求めることによって, 臨床応用の可能性が示唆された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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