抄録
コラーゲンとムコ多糖で表面修節した不織布人工血管(2~2.5mmφ)を作製し, その血液適合性をin vivoとin vitroで調べた。多層被覆により表面に安定なハイドロゲル層が形成された。コラーゲンはジアルデヒト澱粉で架橋した。1週間以内の短期間では表面に薄いそしてなめらかな凝内膜層が見られた。人工血管の表面構造は開存を決定する上で有孔性よりも重要であると思われる。しかしながら, 特に吻口部附近にみられるパヌス形成は2ケ月以上の長期間の使用の場合,小口径人工血管にとって問題となる。人工血管内への生体組織成長の制御ができれば, 薄い, 安定した内皮組織の形成が可能となる。