人工臓器
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新しい人工血管の開発
松本 博志宮脇 富士夫吉良 一明近藤 健介高松 俊昭
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1986 年 15 巻 1 号 p. 351-354

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抄録
冠状動脈バイパス, 大動脈―肺動脈シャント, blood accessなどに使用することを目的にセグメント化ポリウレタンを素材に直径3mmの小口径人口血管を作成した. 今回は素材の複合化を試み, stress-strain曲線を生体血管と同一傾向のものも作成し評価に加えた. 雑種成犬の大腿動脈を使用しての開存性評価では単一素材のもので移植後1年で80%開存するものもあったが, 管壁の一部に動脈瘤様拡張をきたしたものもみとめられた. また素材の複合化を試みた人工血管では3ケ月以上での開存率は0%で, stress-strain曲線が生体血管では動脈硬化病変の動脈に近似していることが開存率を低下させているものと考えられ, と同時に, これまでの研究成果からみて長期開存のえられる素材が同一のNo-12, N-20であることからも化学構造の抗血栓性が極めて大きく作用しているものと考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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