1986 年 15 巻 1 号 p. 397-400
過去15年間に腹部大動脈瘤94例, 腹部大動脈閉塞症27例に人工血管移植を施行した。又腹部大動脈閉塞症22例, Iliac occlusion, Ilio~femoral occlusion症例33例にExtra anatomical bypass術を施行した。他の下肢末梢動脈閉塞性疾患22例には人工血管によるAnatomical bypassを施行した。合併症を生じた人工血管の種類及び手術法をみると, 閉塞例ではExtra anatomical bypassによるものが90%であった。種類ではWoven dacronとKnitted(velour)dacronがそれぞれ7例と8例であった。感染4例, 吻合部動脈瘤4例, 仮性動脈瘤1例, 人工血管周囲水腫1例であった。合併症を来たした人工血管の病理はWoven dacronによる閉塞例の仮性内膜は硝子化したFibrinをみる。Capillary新生及び巨細胞も非常に少ない。Knitted double velour dacronによる脚閉塞例ではCapillary新生は著明であった。術后11年の中尾テトロン管ではCapillary新生は少なくせんい間にアテローム形成をみた。Gore-texの閉塞例は仮性内膜は非常に薄く, Graft内に細胞成分は全く認めなかった。