抄録
PFC-Eを人工心肺充填剤として体外循環に使用後, これを血中より除去する方法につき検討した。体外循環によるPFC投与量が20.4±3.3kgB. W. であった体重10.0±1.6kgのBeagle犬5頭において, IBM-2997のみにてPFC除去を行なった結果, 術後血中PFC濃度は42±1.1g/dl, 対照群と比較するとその22%に低減されていた。術後実験犬はすべて長期生存している。次にIBM-2997と併用して膜型血漿分離器(Filter)応用の可能性をIn Vitroにて検討した。遠心分離法によるPFC除去率は処理血液中のPFG濃度が20g/dl以上の時に高くなる事はすでに報告したが, 今回FilterによるPFC-Eの濾過実験の結果では, PFCはFilter内に捕捉され目詰まりを起こすようでPFG-Eの濃度の上昇は極めて少なく, PFC濃縮用にFilterを用い得る可能性は少ないと思われた。しかし, 遠心分離法により分離回収された血漿中のPFCをさらに除去する目的でならばFilterは応用可能と思われた。