1986 年 15 巻 2 号 p. 1109-1112
セルセーバーを用いて行われた心臓手術症例において、これを用いなかった症例との間で、術前後のヘマトクリット値、血中蛋白の変動について検討した。セルセーバー使用群では、時に術直後、ヘマトクリットが異常に高値をとったり、蛋白の改善が非常に遅い症例がみられた。特に、術後1日目のヘマトクリットが、セルセーバー使用群で高く、蛋白、特にグロブリンに低い値がみられ、これは術後の回復、感染に問題があると思われた。セルセーバーを心臓手術の症例全部に使用するには問題があり、使用する場合には一手術例あたりの使用回数(即ち、処理後の再利用血液量)に限界があると考えられる。