人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
Balloon catheterの形態並びにサイズからみたIABPの効果とその評価
岡田 昌義飯塚 正史塩沢 拓男奥野 邦男司尾 和紀松田 昌三中村 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 15 巻 2 号 p. 529-534

詳細
抄録

急性心筋梗塞に対する補助循環としてIABPを実施し, 本法の有効性を確認した。今回はとくに, balloon catheterの形態(single, double, triple, balloon)からみたIABPの効果を血行動態の面から検討した。その結果, diastolic angmentationとsystolic unloadingの効果が十分にえられたが, singleおよびtriple balloonでは中枢側並びに末梢側の両側への効果が認められた。一方, double balloonでは中枢側のみの効果がえられ, 末梢側の循環への効果はあまり芳しくなかった。以上の事実より, 実地臨床面で長期間のIABPを行うにあたってはballoonとして前二者の選択がよく, とくにtriple balloonの使用が推賞された。他方, balloonサイズもIABPの効果を最大限に発揮するためには重要な因子であるが, stroke volumeに近い容量のballoonが適切であった。かかる点から臨床面では体重50kg以下の人には容量20mlのballoonを, 50kg以上の人には30mlのballoonがよく, これで満足すべき成績をえている。しかし一方では, 日本人の体格に適合したサイズのballoonがあまりなく, これの開発が望まれるところである。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top