抄録
薬剤に抵抗性の循環不全は今日なお存在し, 機械的循環補助に依らなければ改善不能の場合がある。比較的簡便で普遍的補助循環法に, IABP, VAB, 広義ECMOおよびその併用療法があり, これら循環法の対象, 効果, 臨床結果ならびに不成功例の原因を検討し, 補助成績の向上と, 各手段の限界を検索した。
先天性疾患群ではかゝる補助手段は無効の場合が多く, 手術適応, 手技, 効果に負う所が大きい。後天性弁膜症群ではIABPのLOS予防的使用により手術成績の向上が期待できる。VABでは2.4l/min/m2以下で100分以下例で生存が得られ, また100mmHg以上に体血圧の上昇の得られないものは予後不良と判断された。VABまたはECMOとIABP併用療法は効果的であり, ECC離脱時の早期IABPが有効であった。しかし, 併用療法にも限界があり, 長時間高流量補助を要する症例では, 他の更に強力な補助手段導入を考慮すべきである。