人工臓器
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右心補助人工心臓臨床応用とその基礎的研究
本郷 忠敬香川 謙佐藤 尚内田 直樹三浦 誠秋野 能久仁田 新一片山 美明山家 智之堀内 藤吾
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1986 年 15 巻 2 号 p. 600-603

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抄録
東北大学胸部外科では昭和59年より従来の補助循環手段でも改善しない重症心不全症例に対して, 3例の臨床応用を圧縮空気駆動のサック型補助人工心臓を用いて行なった. 補助人工心臓の臨床使用は主として左心補助を主目的としたものが多く, 右心単独で症例は世界的にもまれである. われわれはEbstein病で三尖弁置換手術, ASD閉鎖及び心房化右心室縫縮術施行後, 大量のカテコールアミン及びIABPで血行動態の改善の得られない症例で循環維持のため右心補助人工心臓を使用した. 右心補助は150時間施行し, 術後第7病日には補助心臓から離脱したが, 術後の急性腎不全及び感染症で離脱より10日目で患者は不幸にも死亡した. しかしながら補助人工心臓の補助効果は絶大であったので, 術後の臨床経過を報告し, さらに3週間にわたる山羊を用いた慢性実験において右心補助人工心臓の装着手技の検討を行い送脱血カニュレーション法の安全性を確認した.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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