抄録
幼小児心疾患開心術後の早期死亡例を解析, これら症例に対する補助人工心臓(PAH)応用の可能性を検討した。1982年1月より1985年7月までに185例の小児開心術が行なわれ, このうち術後7日以内に死亡したものは, 1才未満(A群)12例, 1才以上(B群)8例, 計20例であった。死亡原因を分類すると, 体外循環離脱不能例7例(A群5例, B群2例), 術後LOS 11例(A群6例, B群5例), その他2例であった。ECMO, IABP等循環補助を施行したもの5例(B群5例)であった。PAHの適応と判断されるのは, 手術適応, 根治性に問題なく, 術後管理にも問題ないと判断されたA群4例, B群3例, 計7例であった。このうち術前の病態より判断し, 左心不全が主であるもの2例, 右心不全が主であるもの3例, 特定しがたいもの2例であった。ECMO等の循環補助は限界があった。小児例にPAHを応用する場合問題となるのはポンプ, カニューラの大きさである。