人工臓器
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補助心臓ポンプにおける水撃発生メカニズムの解明とその軽減方法の検討
永田 敬博梅津 光生田中 隆高野 久輝植木 豊西川 秀幸稲田 和男土屋 喜一
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1986 年 15 巻 2 号 p. 642-645

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抄録

補助心臓駆動時の人工弁の閉鎖に伴う異常な圧力上昇(水撃:Water Hammer)に注目し、この異常な圧力上昇の軽減方法について検討した。実験は従来からのin-vitro装置を用い弁の種類、ポンプ膜の厚さ、弁取り付け部の材質、形状の変化に対する水撃値の変化を測定した。その結果人工弁では厚肉のPU弁が、良好左弁閉鎖機能のために他の弁に比べ圧倒的に圧較差の減少をみた。ポンプ膜に関しては、薄くすることによる有為左差は認められなかった。取り付け部材質に関しては、ヤング率の小さいものにすれば圧較差は減少する。しかし、流量特性や動脈圧波形より考えて、肉厚1.5mmのラテックス管が適当であると判断した。また取り付け部形状に関してバルサルバの形状が、肉薄のPU弁の場合にのみ閉鎖特性を改善できることがわかり、ディスク弁等を使用する場合にはバルサルバの形状によってはかえって逆効果であることも判明した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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