透析液の不均等な分布に起因する透析性能の低下を防止する目的で, 外周に沿い突起(F)を装着した中空系を開発し, その透析性能改善効果の機序をin vitro実験で検討した。F付き, F無しの各中空糸により作製したミニ透析器で, 透析液側境膜抵抗(1/KD)が0となる高透析液流量下にWilson plotから血液側・膜の尿素, VB12に対する物質移動抵抗を求め, 臨床用透析器の総括物質移動抵抗(1/KA)に適用して1/KDを求めるとF付透析器ではF無しに比し1/KDは78%低下, KAは29%増加した。各透析器でQDを変化させ, 1/KAの変動を測定した所, F無し透析器ではQDの上昇に伴い, 1/KAは大きく減少したのに対し, F付透析器ではほとんど低下せず, F付中空糸の1/KDの減少は真の境膜抵抗低下ではなく, 透析液流の均等化から膜面積が有効に利用され, みかけ上1/KDが低下したと思われた。以上より本中空糸は透析器の透析液流の均等化を介し, 透析性能向上効果を持つことが示された。