人工臓器
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キュプロファン系protein-permeable dialyzerの性能評価
高木 豊己桜井 謙次小川 洋史斎藤 明
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1362-1365

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抄録

キュプロファンダイアライザーで従来のものよりも明らかにcut-off pointの高いダイアライザーを用いた血液透析をおこない, その性能を評価した。ダイアライザーはTAF-80S(再生セルロース膜)であり, 対照としてKF101-CD(EVAL膜)を用いた。アルブミンの漏出量では, TAF 80S: 1201mg/HD, KF-101-CD: 6986mg/HDであり, TAF-80SはKF-101-CDに比しアルブミンの漏出量は6分1であった。また, retinol-binding protein (RBP)/albuminの除去量比では, TAF-80S: 0.044, KF-101-CD: 0.015であり, アルブミンに比して小分子量蛋白の除去量はTAF-80Sの方で良く保たれていた。β2-ミクログロブリンのsieving coefficientでは, TAF-80S: 0.29, TAF-120S: 0.39, KF-101-CD: 0.43であった。小分子量物質のクリアランスはKF-101-CDよりもTAF-80Sが高値を示した。TAF-80Sは, アルブミンの漏出を抑えながらも小分子量蛋白の除去効率を保ち, 臨床使用では低蛋白や脂質の増加などの副作用がなく, 長期使用に適したダイアライザーと考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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