1986 年 15 巻 3 号 p. 1676-1679
ポリメチルメタクリレート(PMMA)を基本骨格とし、その側鎖を変えた材料を用いてイムノグロブリンG (IgG)の吸着挙動を検討した。その結果、ポリメタクリレート誘導体に対するIgGの吸着は疎水結合や複数の相互作用の協同効果による吸着様式が主体であることが示唆された。次にIgGを2つのフラグメントF (ab')2Fcにわけ、各フラグメントの吸着挙動を解析した。その結果、PMMAおよびその側鎖を-(CH2)2N (Et)2-(CH2)2OHに置換したものでは、F (ab')2の吸着親和性が高かった。一方、PMMAに-COOHを導入することでFcの吸着親和性の方が高くなった。さらにアミノ酸を側鎖に導入することで-COOH周辺の環境を変えることにより、フラグメントの吸着親和性が変化した。このように、材料構造パラメータを変化させることによりIgGの吸着挙動が異なり、材料設計を利用したIgG吸着の最適化制御への可能性が示唆された。