人工臓器
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Perfluorochemical乳剤の免疫抑制作用
―その機序とマウス皮膚移植への応用―
三浦 純一薄場 彰井上 仁遠藤 幸男大石 明雄元木 良一
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1672-1675

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抄録

いわゆる人工血液Perfluorochemical (PFC)乳剤は急性大量出血患者の救急治療薬として開発され臨床に応用されようとしている。PFC乳剤は体内に投与されたのち細網内皮系(RES)のマクロファージ(Mφ)に取りこまれるため, Mφの機能を抑制すると考えられた。著者らはマウスを用いた実験でPFC乳剤の免疫系におよぼす影響を検討し以下の結論を得た。
1) PFC乳剤は免疫学的に重要な役割を担うMφのInterleukin-1産生を抑制することにより間接的にT cell, B cell機能を抑制して免疫抑制作用を発現する。
2) PFC乳剤はla抗原陽性Mφの抗原提示能を阻害することによりT cellの免疫活動を抑制する。
3)PFC乳剤は選択的にMφの機能を抑制するために免疫抑制剤として応用可能と考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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