人工臓器
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植込み心臓ペースメーカー装置の放射線照射による影響
豊田 道明
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1986 年 15 巻 4 号 p. 1765-1773

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抄録
ペースメーカー植込み症例に悪性腫瘍が合併した場合, その治療に放射線療法が選択されることがある. 生体内に植え込まれたペースメーカー装置が放射線を受けることを想定し, 使用有効内に取り出したリチウム電池およびCMOSまたはTTL回路使用の21台に対して60Coの照射を試みた. 使用した装置は非プログラムVVI型10台, プログラムVVI型9台, 同DVI型2台である. 照射は1,000radsまでの分割および1,000radsの一括照射にて行ない, ペースメーカー刺激の間隔, 幅, 波形, 出力, 感知能, 不応期, およびプログラム機能におよぼす影響について観察した. 結果として, 1,000radsまでの60Co分割照射では, ペースメーカー機能は停止することはないが, 各種機能は少なからず影響を受けていることが明確となった. また, 1,000rads一括照射では, 機能障害を示すものも現われ, LSI-CMOS多用の装置への直接大量照射は禁忌であることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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