人工臓器
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Starr-Edwardsボール弁Model 1200, 1260の長期遠隔成績
藤田 康雄林 純一中沢 聡山崎 芳彦江口 昭治大谷 信一
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1987 年 16 巻 1 号 p. 259-262

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抄録
Starr-Edwardsボール弁Model 1200, 1260の長期遠隔成績を検討した。対象は本弁でAVRを受けたうち手術死亡を除く20例である。血栓塞栓症は抗凝固療法施行下では2例2回で1,64%/pt・yrであった。長期遠隔期になるにつれて血栓塞栓症は減少傾向を示した。PVEを2例経験したが, いずれも保存的治療で治癒した。再手術を3例に施行した。2例は術後早期のPVE-leakageに対して, 残る1例はMS+TRに対してであった。6例の遠隔死亡を経験した。PVE-leakageによる再弁置換2例, 脳出血2例, 突然死1例, 劇症肝炎1例で, 弁機能不全による再手術, 遠隔死亡は経験していない。NYHA心機能分類では, 76%が1度であった。9A, 10Aの3例で代用弁圧較差を測定し, 9Aでやや高値であるが10Aでは良好な値を示した。以上より本弁は耐久性, 抗血栓性に優れ, 弁サイズが大きければ弁抵抗はさほど問題にならないと考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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