抄録
1978年6月より1986年4月までに代用弁置換を行った60才以上の後天性弁膜症26例を対象とし、生体弁置換例8例(I-S弁2個、HancockPX弁3個、C-E弁3個)と、機械弁置換例18例(B-S弁2個、SJM弁15個、Duromedics弁6個)とで、術後経過、術後合併症発生率を比較検討した。生体弁置換例中4例が、LOS、肺高血圧等のため長期呼吸管理を要し、縦隔洞炎、菌血症からMOFへ移行し、第62~180病日病院死した。機械弁置換例では1例がLOSのための第15病日手術死したが、他に死亡例はなかった。遠隔期に代用弁に関連した合併症としては、HancockPX弁1例に弁葉離開(→再弁置換)、B-S弁1例に脳塞栓を認めた。以上より、現段階では、機械弁を第一選択とし、遠隔成績を追求する予定である。