人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
術后徐脈性心房細動に対し永久的ペースメーカー植え込みを必要とした弁置換症例の検討
田村 栄稔山口 明満大滝 正己美濃 地忠彦跡部 正明北村 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 16 巻 1 号 p. 432-434

詳細
抄録

後天性弁膜症に対する手術成績は, 遠隔期においてもほぼ満足できるものとなって来た。しかし術後この様な症例の中に徐脈性心房細動を呈し, 心不全症状の遷延, 悪化をくりかえしたり, 一過性脳虚血症状のため治療に難渋することがある。我々は過去6年間に徐脈性心房細動, 房室ブロックを呈した7症例に永久的ペースメーカー(PM)を植え込んだ。内訳けはMVR±AVR(2例), MVR(1例), MVR±TAP4例, 1例にはA-plasty追加)である。5例にはカテーテル電極, 2例は心筋電極を使用した。PMの適応となった時点での心電図変化は, 洞機能不全5例(71%), 房室ブロック3例(43%)であった。MVR+TAP症例では術前よりLown分類で3度以上の心室性不整脈をおこす例が3例(75%)と, 他群にくらべ心筋障害の大きさが考えられた。又この群では術后有意(P<0.05)にPMの植え込みを必要とした。開心術后徐脈性心房細動により遷延する心不全, 持続せる中枢神経症状が存在すればPMの植え込みも考慮すべきである。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top