1987 年 16 巻 1 号 p. 428-431
SSSに対するペーシングモードは、心房機能を温存し、正常房室伝導機能を活用する生理的ペーシングである心房ペーシング(AAI)が望ましいと考えられている。SSSに対するAAI症例19例において平均39.3カ月追跡し、不整脈の発生を中心に検討した。自覚症状は、全例において改善した。19例中AAIペーシング単独で頻脈発作及び不整脈が発生しなかった症例は8例、頻脈発作、心房細動及びPATの予防のためジギタリス剤の併用を要した症例は11例であった。11例中1例においてAfが固定したためにペーシングモードをVVIに変更した。また、11例中4例においてII度AVBが発生したため、3例はDVIに、1例はDDDにペーシングモードを変更した。SSSではその経過中に頻脈発作及び上室性不整脈が発生する症例が多く、その治療のためにジギタリス剤を使用するためにジギタリス剤によるAVBが発生し、AAIで対応できない症例が生じることが示唆された。