人工臓器
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ローラーポンプの回転数が血液成分破壊と末梢循環に及ぼす影響の検討
―高速回転と低速回転―
古川 斉中川 康次増田 政久山本 和夫鶴田 好孝林田 直樹柏木 福和大貫 洋子奥井 勝二
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1987 年 16 巻 1 号 p. 526-529

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抄録
ローラーポンプを高回転で使用すると低回転時に比ベクランプ回数が2~3倍と多く, 血液成分破壊にも影響を及ぼすと予測されるがその報告はない。今回, オクルージョン部分の径のみ異なる2種の閉鎖回路を作製して行ったin vitroの実験では, 血清遊離Hb量は高速回転時は低速回転時に比べ有意に高値を示した。後天性弁膜症を対象とした臨床実験では, 高回転気泡肺の組み合わせは, 血小板減少率, 血清遊離Hb量とも多ぐ, 血球成分の破壊が特に強かった。フィブリノーゲン, AT-IIIにはローラーポンプの回転数, 人工肺の種類の影響は認められず, 術後出血量にも差がなかった。ローラーポンプの回転数の影響は血球成分に関しては, 気泡―膜型肺の差に匹敵することもあり, 高速回転で使用すると, 膜型肺の有利さを減弱させる可能性があると思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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