抄録
補体系は生体防衛機構の一部を担う重要なる生体系であり, 活性型因子やフラグメントは各種細胞系に対して抑制機能やエフェクター機能を発現することが明らかにされつつある。表面性状の異なる材料表面における補体系活性化に古典経路及び第2経路による補体活性化に分離定量し, 一般的な材料性状―活性化能の相関関係を見い出した。疎水性表面は最も不活性であり, 分子運動が束縛凍結された結晶性表面水酸基を有する表面は最も高い活性化能を示した。古典及び第2経路の接触相(C1及びC3)の活性化機構を再構成系を用いて分子レベルで明らかにした。C1の活性化はIgG依存性とIgG非依存性及び両者が併行して進行すること, セルロース等の表面水酸基の分子運動が束縛され, その密度が大きい材料表面での高い補体活性化能はC3の材料表面への直接化学結合による局在化であることを明らかにした。活性化補体成分がNK細胞及びマクロファージに対してエフェクター機能を発現することを明らかにした。