抄録
植込み型人工膵臓システム実用化に向けての大きな鍵は、植込み可能な小型グルコースセンサーの完成にある。我々はここ数年、従来の人工血管型グルコースセンサーに代わり、より臨床に用い易い、皮下型グルコースセンサーを開発し、検討を加えてきた。前報で示したようにグルコース透過制限膜を、初期のピンホール膜から、酢酸セルロース膜に代え、膜の保存液を25%エタノール水溶液から、生理的食塩水に代えることにより、in vitro, in vivoでセンサーがより確実に働くようになった。しかし、in vivo試験後、まれに高グルコース濃度の識別ができなくなる現象が起こったので、その原因究明を行った。また、グルコース透過制限膜の前に更にもう一枚膜を装着することにより、in vivoでのセンサーの安定性を高め、また長期間の使用にも耐え得るように改善できた。