1987 年 16 巻 5 号 p. 1698-1703
侵襲のより少ない体外循環を行なうために新生児乳児専用の, 脱血回路内にflexible bag (50ml)と陰圧警報装置をもつnon-reservoir閉鎖式体外循環回路を作成し動物実験と臨床応用を行なった. この回路では脱血量は回路内容量に規定され, 脱血不良のときはflexible bagが虚脱し患者側へは回路内陰圧が伝播しない. Flexible bagの虚脱に先立ち回路内陰圧が設定限界レベルを下回ると警報装置が作動しポンプが停止する. 血液量が不足のときは貯血槽より一時的に接合回路を開いて必要量を供血する. flexible bagの充満度は脱血状態を敏感に反映するのでこの充満度と生体側指標を参考として体外循環を操作する. 吸引は原則とし壁吸引のみとし出血分は輸血する. このような小容量(400ml)閉鎖式体外循環回路は体重6kg以下の症例がよい適応であり, より厳密に循環血液量を調節できるが, 同時に手術操作においても血液と局所冷却の冷却水等その他の水分との出納バランスを別々に正しく把握できるよう配慮が必要である.