人工臓器
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新規血漿分離器―コーンプレート型血漿分離器の開発
板垣 一郎長岡 昭二池田 博之伴野 丞計
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1987 年 16 巻 6 号 p. 1836-1840

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抄録
高濾過流束が得られる回転円筒膜型血漿分離器が注目されている. しかしこの分離器はTaylor渦の発生が原因と思われる血小板の凝集能の低下という問題点を有する. われわれは, 血小板に損傷を与えることなく高ずり速度を血液に付加し, 95cm2の膜面積で血漿を迅速に分離できるコーンプレート型血漿分離器を開発した. この分離器は頂角が179°の円錐状の回転体と孔径0.8μmのポリカーボネート膜から構成され, ずり速度を任意の値に設定することができる. 人新鮮血液を用いた実験の結果, 第VIIIおよび第IX因子活性の回収率はいずれも95%を上回り, また補体成分の活性化も認められなかった. さらに血小板の凝集能については, 分離前後でまったく変化がないことが確認された. 以上の結果からコーンプレート型血漿分離器は, ドナープラズマフェレーシス用の小型膜分離器として有望であると考える.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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