理科教育学研究
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原著論文
子どもの科学概念構築過程における表象機能の操作因子に関する研究
和田 一郎森本 信也
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2011 年 51 巻 3 号 p. 169-179

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抄録

近年,子ども自らが考え,表現する理科授業の開発が強力に要請されている。こうした時代の要請は,理科授業において教師に子どもの学習を的確に見極め.時宜に適した支援を施していく必要性を増強させている。子どもは学習過程において, 認識の源泉である様々な種類の表象(representation) をダイナミックに稼働させ,変換させながら科学概念の構築を図っている。本研究では,こうした科学概念構築過程における表象の変換過程に関わり機能している表象の操作上の因子について検討することによって,より具体的に子どもの理科学習の内実を精査することを試みた。この際,Kozma.R.ら(2007) が提起する自然事象の解釈に関わる表象の操作の5つのレベルに関する理論およびWhite. R.T. (1988) の提起する知識の構成要素の理論を援用し,表象の操作レベルの高度化と科学概念構築過程との関連性について分析した。結果として,表象の自律的操作の具現化が知識の構造化を促進し,科学的な思考カ・表現力の向上に寄与していることが明らかとなった。

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© 2011 日本理科教育学会
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