人工臓器
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ポリメチルメタクリレート系β2-マイクログロブリン除去膜の基礎的検討
酒井 良忠谷尚 泰雄小林 拓一小野 利彦
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1988 年 17 巻 1 号 p. 18-21

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抄録

β2-マイクログロブリン(β2-MG)除去膜の最適化を計るとともにβ2-MGの臨床での除去量を推定するために, 透水性が幅広く異なるポリメチルメタクリレート系中空糸の小型モジユールに対し, 透析患者血漿を4時間灌流させるin vitro実験を行った。
透水性が高くなるにつれてβ2-MGの透析透過量は多く表なるのに対し, β2-MGの吸着量は透水性30~50ml/hr・mmHg・m2で極大値を示し, 約100mg/m2であつた。これらの結果から臨床用モジユールでのβ2-MG除去量は, 1.0, 1.6, 2.1m2それぞれについて120, 190, 250mgと推定された。in vitro実験条件や予備的に行った臨床使用後モジユールからの溶脱β2-MG量測定結果から判断して, 本in vitro実験結果は臨床でのβ2-MGの除去にほぼ対応していると言える。β2-MG除去への濾過効果の検討や臨床使用後モジユールへの吸着量のより精度の高い測定を今後行う必要がある。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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